大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(ツ)14号 判決

上告人 齊藤よね

被上告人 古町林業有限会社

〔抄 録〕

(三) 被上告人の本件土地に対する占有の所得は、上告人の占有を侵奪してこれを自己の実力的支配下においた結果であることは原審の判示するところのごとくであるが、そもそも、上告人が被上告人の右侵奪行為の当初において、即時上告人の所論耕作権の防衛上止むことを得ず、自力をもつてこれを阻止するため所論行為をなしたというような場合ならば格別であるが、原審の確定するところによれば、被上告人が本件土地に対する実力的支配を始めたのは昭和二十一年八月頃であり、上告人は昭和二十五年十一月頃になつて突如本件土地を掘り起し、木柵等を設けて被上告人の通行を妨害する等の行動に出でたというのであるから被上告人の右土地に対する実力的支配は明かに占有の権利として法の保護の下におかれなければならないことは勿論であり、したがつて、上告人の右のごとき自力救済行為は違法の行為として法の許さざるところであるといわなければならない。たとえ、右の場合、上告人がその主張するように本件土地につき賃借権を有するものであり又度々被上告人に対し予告をしたことありとしてもかかる事実は毫も上告人の右自力救済を正当化するものではない。なんとなれば、物に対する或る人の事実的支配が、たとえ、他人の占有を侵奪した結果であるとしても、国家はその一旦成立した事実的支配状態を、その存するが儘に占有権として一応これを保護し、もつて社会の秩序、平和の維持を図ることを希求し、その成立した事実的支配状態、すなわち、占有が妨害又は攪乱されるがごとき場合には占有者に対し、いわゆる占有訴権を与え、法律上の手段によりその他人の妨害又は攪乱行為を排除することを得しめていることは民法占有権に関する規定上明かであるからである。原判示は措辞簡に失するも、その趣旨においてはなんら右と異なるものではない。右に反する所論は、上告人独自の見解にすぎないものであるから採用し得ない。

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